大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和50年(オ)907号 判決

主文

理由

上告代理人山本諌、同小越芳保の上告理由第一点及び第二点について

所論の点に関する認定判断は、原判決挙示の証拠に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第三点について

原審が適法に確定したところによれば、中村達雄は、本件金銭消費貸借契約成立時に綾歌南部農業協同組合の参事の地位にあつたものの、右契約締結に当たつては、同組合から本件金員を借り受けた中村宣夫の代理人として同組合の代表者と右契約を締結したものであつて、右代表者は、本件貸付金が借主である中村宣夫によつて土地購入のために使用されるものとして貸し付け、宣夫が右貸付金を直ちに上告人に貸し与えることを知らなかつたというのであるから、本件貸付をもつて、同組合の代表者による同組合の目的外の貸付けとするには当たらないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第四点について

原審が適法に確定した事実関係の下では、被上告人が上告人に対し、本件抵当権の移転を受けたことを主張することが信義則に反するものではなく、権利の濫用に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例